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あえか [詩]

あえか

透明な雪に躓く
透明な靄を抱える 空
橋を渡ろうとする
遠く屈折した気流だから 走る

氷の柱は解けて空白を招き
その 鋭利な皮膚
すれ違うだけの昨日と今日
紛れていく視覚の感情

落ちろ朧月 屈折するよ
冬の太陽を追って
頷くだけの幻の声だもの

サイレンの音だけを追い
時の流れの中で
震える膝を抱き寄せる 聴いているのか

飛び魚が通り過ぎる硝子張りの夜
空のあかね色の静けさを
干からびたアスファルトの上に
残す 名のない足音

掌には 離れたままの指の間から
つかみ損ねた 枯れ葉の匂い
煙る姿を透かして欠けた月の後ろ姿

たたまれていく影の時代は
ああ 新しく泡だつ
つややかな膨らみを食らう



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蝸牛 [詩]

曲がった 滑る窓 蝸牛

映る 自画像を 隅々に反射させる

遠い閃きをあびて

光る道の跡

古い伝わりを呼ぶ

欅の下で眠る朝は

昨日の窓を拓いて遊ぶ

夕暮れは まれに

過剰な朧月を綻ばし

捨てた 晴れた空の色 に

隠された海を浮かべている


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