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朝 [時の回廊]

太陽の光が満ちたグラスに

夏の風を一粒おとす 朝

夢占いの天秤が わずかに傾き

まどろむ 光と影のささやきは

閉ざされた 瞼に そそがれて


枯れた街には 

夢の影を ついばむ鳥


名もなき地から 二めーとる の あいだに 漂う千慮

いくつもの名を 地に落とし

いくつもの地図を 重ね

燃え上がる情熱と 鉛に繋がれた倦怠の神なき王国は

身を焼き尽くす 慰安にみちて




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「惑星ソラリス」は、<宇宙>のなかに取り残され、

望むと望まざるとにかかわらず、さらに次の段階の知識の断片を

手に入れ、理解することを余儀なくされている人びとについての

話である。

それはいわば、外から人間に与えられた認識への無限の欲求で

ある。 

その欲求は、それ自体きわめて悲劇的なものである。

なぜなら、絶えざる不安と、喪失感と、悲しみと、絶望を伴う

ものだからだ。

実際、究極の真理は到達することが不可能なのだ。

そればかりか、人間はさらに良心というものが与えられていて、

彼の行動が道徳律に従わないとき、彼を苦しめる。

つまりある意味で良心の存在も悲劇的なのである。

幻滅が「惑星ソラリス」の登場人物達につきまとう。

われわれが彼らに提示した出口も、幻影のようなものであった。

それは夢想のなかに、人間を生みだした地球と人間を、永遠に

結びつけている根を自覚できるかどうかということのなかにあった。

しかしこの結びつきすらも、実際は彼らにとってすでに非現実敵な

ものになっていたのだ。

「映像のポエジア」より    タルコフスキー著    鴻 英郎訳




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かつて神への信仰が存在した 惑星ソラリス から やってくる 

光に包まれる (バッハBWV639)  朝 

慰安のコインを握りしめる僕には 

何色に見えるのか




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