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 [時の回廊]

太陽の光が満ちたグラスに

夏の風を一粒おとす 朝

夢占いの天秤が わずかに傾き

まどろむ 光と影のささやきは

閉ざされた 瞼に そそがれて


枯れた街には 

夢の影を ついばむ鳥


名もなき地から 二めーとる の あいだに 漂う千慮

いくつもの名を 地に落とし

いくつもの地図を 重ね

燃え上がる情熱と 鉛に繋がれた倦怠の神なき王国は

身を焼き尽くす 慰安にみちて




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「惑星ソラリス」は、<宇宙>のなかに取り残され、

望むと望まざるとにかかわらず、さらに次の段階の知識の断片を

手に入れ、理解することを余儀なくされている人びとについての

話である。

それはいわば、外から人間に与えられた認識への無限の欲求で

ある。 

その欲求は、それ自体きわめて悲劇的なものである。

なぜなら、絶えざる不安と、喪失感と、悲しみと、絶望を伴う

ものだからだ。

実際、究極の真理は到達することが不可能なのだ。

そればかりか、人間はさらに良心というものが与えられていて、

彼の行動が道徳律に従わないとき、彼を苦しめる。

つまりある意味で良心の存在も悲劇的なのである。

幻滅が「惑星ソラリス」の登場人物達につきまとう。

われわれが彼らに提示した出口も、幻影のようなものであった。

それは夢想のなかに、人間を生みだした地球と人間を、永遠に

結びつけている根を自覚できるかどうかということのなかにあった。

しかしこの結びつきすらも、実際は彼らにとってすでに非現実敵な

ものになっていたのだ。

「映像のポエジア」より    タルコフスキー著    鴻 英郎訳




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かつて神への信仰が存在した 惑星ソラリス から やってくる 

光に包まれる (バッハBWV639)  朝 

慰安のコインを握りしめる僕には 

何色に見えるのか




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おやすみの 朝 [時の回廊]

朝の 空が そこに

朝の テーブルが そこに

朝の 瞳が 目の前に

朝の こころが 夜の こころに ないしょ話

ひとつの光がやってきて 

すべての ものに

新しい 名を ひとつ ひとつ

名付けては つないでゆく

浮きあがって 解き放たれた

ことばに なれない 

ことば達の 群れにも 朝がやってきて

光の届かぬ 暗闇で目覚める命にも 朝がやってきて


今朝の風は とても おだやか そして ひかえめ

窓をあけて あいさつをして ほほえんで 

ようやく そっと

透明な 小川の さわやかな ほほえみをかえしてくれた


めざめて なにもない 透明な夢の花開く おやすみ の 朝



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小さな春 [時の回廊]

久しぶりに 街にでて

ふらり ふらり と  



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お昼前の休日 まだ人通りも ほどほど

のんびりとした よき休日の風が通りすぎてゆく

甘いハーブの香りがあふれ漂ってくる店の前を通り過ぎ

春の色がこぼれる ウインドウの脇をすり抜けて

あなたは何回目の春を迎えたのだろうか

春の息吹を纏っていた あの 時 か ら



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駅の近くに住む友人の家で

のんびりと 



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といった雰囲気の店で

バッカスギャラリー ブン

お料理をいただいて 

小さいけれど とても素敵な春を見つけた と

あなたは ほほえむ



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砕かれた空 [時の回廊]

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つめたい 光は 時を凍り付かせ
群青の空は 砕かれて
ワイングラスの中で 傷だらけ

こころの 中で ルージュをひく
ことば達
乾いた風のかけらにそよぐ 薔薇の花びら

点滅する光と ざわめきの 中で
街は 傾いた帆船の影を 引きずり
薔薇の棘に触れ
レモンバームは 血を流す



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瞳から こぼれる まぶしい
ことばに うたれて
街の放浪者の 影を あつめていた天使は
砕かれた 群青の空に舞う




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夜に降る雨の歌 [時の回廊]

夜 窓に 雨の歌

フォーレ の 色 に 時の流れは 染まってゆく

ピアノ と 絃 は 。 静 寂  と  熱く 揺 れ ル 小さな 命と ノ 

真ッ逆さま な 巡り逢い 。 


                。 。 。

                   。   。
              。  。 。  。  。



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その音色は 生まれたばかりの 時には 透明な歓びの さざ波をもたらし

消えてゆく 時には 時を巡る自由の翼を



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時の迷宮

やがて 夜明けが



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